加齢黄斑変性に対するiPS細胞を用いた細胞移植技術は、眼の再生医療の分野で注目されています。この技術は、2014年に京都市で開催された日本再生医療学会総会で、世界初の症例として長期間の経過が報告されました。この手術は、加齢黄斑変性を患っていた78歳の患者に対して行われ、患者自身の皮膚細胞から作成されたiPS細胞を網膜色素上皮(RPE)細胞に変化させ、移植しました。この臨床研究は、移植から7年が経過した現在でも、患者の視力が維持されており、腫瘍化などの異常な細胞増殖が確認されていないことを示しています。
この成功事例に続き、重い目の病気を持つ患者に対する新たな治療法の開発が進められています。住友ファーマとヘリオスという二つの企業は、加齢黄斑変性などから進行した網膜色素上皮裂孔を対象とした、iPS細胞から作った網膜細胞の移植による治験を計画しています。この治療法は、視野が欠けたり視力が低下したりする重い目の病気の患者の機能回復を目指しており、国の承認を得て治験が開始される見込みです。
このように、iPS細胞を用いた眼の再生医療は、今後の医療における新たな可能性を秘めています。これらの研究と治験の進展は、将来的に多くの目の病気に苦しむ患者に希望をもたらすものと期待されていますが、最近は治験情報の進捗が発表されていません。