視覚障害というと、目が全く見えない人の姿が一般によく知られています。彼らは駅で白い杖を使ったり、盲導犬と一緒にいたりします。しかし、視力が非常に弱く、いわゆる弱視者やロービジョン者も多く存在し、日常生活や仕事においてさまざまな困難に直面しています。彼らの多くは、通常の眼鏡やコンタクトレンズでは視力を十分に改善できません。
そのような弱視者のために開発されたのが、「RETISSA」です。これは、網膜に直接レーザー光を投影することで視力を向上させることができる、世界初のレーザーアイウェアです。この技術は、日本のベンチャー企業である株式会社QDレーザによって開発され、視覚障害を持つ人々の生活の質(QOL)向上に寄与することが期待されています。
RETISSAは、網膜をスクリーンとして使用するレーザープロジェクターのようなもので、3色のレーザー光を瞳孔に高速で送り込み、網膜にカラー画像を投影します。これにより、ロービジョン者も鮮明な画像を見ることが可能になります。ロービジョンの原因となる疾患には、小児弱視や先天性白内障、先天性無水障害などの先天的なものから、後天的な疾患や高齢によるものまでさまざまあり、世界には約2.5億人、日本国内にも約145万人のロービジョン者がいると推定されています。
この技術がロービジョン者にとって有用であることを認識したQDレーザのチームは、製品化に向けた取り組みを進め、社会的な抵抗感を克服するために医療機器認証の取得にも努めました。臨床試験を通じて、「使用すると視力が確実に上がること」と「安全であること」を証明することが求められました。
この最先端のアイウェア技術で、視覚障害者のQOLが大きく向上することを期待しております。